奥津典子より「書籍の訂正とサイト上補講」
五行のイントロと、汚染物質対策についての補足
五行の説明で「競争について」がありましたが、適度な競争は必要です!マクロビオティックは決して競争否定ではありません。運動会のかけっこまでなくせとか、そういう話ではありません。ただ、ある分野や学問、スポーツ、美、収入・・・なんでも良いですが、一部の競争の勝敗が人生の全てだといった判断はマクロビオティックに反します。あまりにも不公平な競争、例えば植民地主義、軍拡競争などについてはマクロビオティックは反対する立場です。ただ、本当に広い意味のマクロビオティックは、それらすら、戦争すら、何か意味があるから成立したのであり、人類の発展に必要であったと捉えるなど、全肯定します。個人レベルに例えるなら、愛する人の死や深刻な病などの激しいショック・傷みから人は覚醒もできるからです。しかし、戦争やそれに等しいような激しい傷みの経験を経ずとも、人類も個人も発展・成長、「元気」になることは出来るのであって、できればその道を選べるよう、日々の食事から、自分の力の発揮を目指しています。
競争について話を戻せば、電力業界も農協も、健全な競争がないこともああなってしまった原因の一つだと思います。陰性過剰、いわゆる“ぬるま湯”体質です。稲や野菜も、雑草たちとある程度は競争したり、風雪に耐えることで美味しく丈夫になります。しかしそれがあまり激しすぎると一度大幅に数が減ってしまったり(極陽)、反対に数が増えすぎる(極陰)と病気が流行ったり・・・自然は、いつも私たちにあるべき姿のヒントをくれます。
大気汚染については、PM2.5や花粉対策についてお話しする時間の余裕がありませんでした!が、汚染物質の代表格で、もっとも害が強い放射性物質に絞り、文科省発表の資料(放射性物質の今年2月の降下量)を配布しました。初めて見た方はびっくりなさったと思います。毎月密かに(?)発表されています。「環境放射能水準調査結果(月間降下物)」で検索してみてください。
中の「不検出」という表示も注意書き3をご覧いただければ、絶対ではない、単なる下限値以下なことにご注意ください。さらに、この表でもわかるのはセシウム134および137だけで、他の核種については不明です。新聞に載っている「放射線量」だけでは私たちの周辺の「放射性物質」の量はわからないのです。
食以上に空気は選べません。呼吸被曝を考えると、危険区域は広く、引っ越しも含めた対応が必要になりますが、簡単なことではないし「絶対」がわかりません。私も専門家ではありませんし、やはりあまりブログなどで書くことはためらわれます。無駄に不安を煽ることも無責任だと思います。ただ、危険の可能性の事実は変わりません。私たちが東京にいるからといって、福島に食べ物を送っているからといって、「食を気をつけていれば東京や福島でも絶対安全」というメッセージではないことはご理解ください。どうか、皆様ご自身でご判断ください。
けれど、移住はとても難しいという現実があります。それぞれに、仕事や介護、育児の責任があるからです。親や子ども、社員など、守っている人が多いほど、状況を調えるのに時間がかかります。福島たべもの便の送り先の一つは障碍者施設ですが、身体にハンデがある方は、一層ご家族も引っ越しが困難です。
また、私事ですが、弟の一人(医師)も「患者さんを放り出して自分たちだけ引っ越すことは決してできない」と申しておりました。偶然、勤務病院が変わり関東から離れましたが、そういう「こうしたい」という強い意識から残りたい人も沢山います。
だから、移住に関しては、どっちが正しい、正しくない、という問題にすりかえてその論争に陥らないこともとても大事です。放射性物質を避けることは、手段であって、目的ではないのですから。しかし、厳しい事実は認識しておく必要があります。例えば関東もチェルノブイリであれば当然避難区域です。事故後すぐに石棺にしたチェルノブイリですら、事故後2年経ってからすら、西ロシアに避難勧告が出されました(福島-東京間よりもはるかに離れています)。ところが福島原発事故は、情報隠ぺいが多いと言われる東電ですら「40年かかる」と明言しています。最低40年(おそらくはさらに長く)、放射性物質は放出され続ける、ということです。汚染水の漏えいが日々話題になっていますが、福島の地下水と例えば東京の地下水脈はつながっています。
放射性物質の影響については、「絶対」がわからないのが難しいところです。福島県や宮城県、茨城県など隣接県、東京都など関東でも大丈夫な人もいるでしょうし、実害が出てしまう人も少なくないでしょう。しかも、その悪影響は、今の子ども世代が出産するときになって表面化することもあります。いずれにせよ、もう終わった、と錯覚せず、今からでも、落ち着いて考えても無駄ではありません。どのような結論が出ても、よく考えることは日々を充実させるはずです。
また、西日本に暮らす皆さんも安心はできません。なぜなら、肥料や人の移動、空気などでどんどん広がっているからです。実際九州の野菜からも、高い放射性物質量が発見されています。関東や東北で汚染された土壌やわらなどが、出回ったからです。むしろ西日本の方が、食物検査をしていないため、危険かもしれません。呼吸被曝の恐れがないからと安心するのではなく、食の安全を次代につないでいきたいものです。
またマクロでは、川魚やタラなどをすすめますが、いずれも、放射性物質がたまりやすい類の食物です。気をつけてください。食物連鎖と汚染の蓄積で、事故後より今の方が何万Bqまでも汚染され危険なことがよくあります。新聞などでは小さな記事で発表されます。よく情報収集につとめましょう。ネット上の情報は玉石混合です。原発反対を装った別の意図に踊らされては何にもなりません。書籍を色々な著者で読み比べることをおすすめします。一人の著者の主張だけを盲信することも危険だと思います。
ただ、今すぐ何かできるのは、「食事」のいいところです。移住してもしなくても、タフな心身は必要です。やっぱりマクロビオティック食や身近な体操は強い味方になります。免疫力を高める食事、はマクロビオティックそのもので、それ以上のものはないでしょう。
なお、私が一般ブログなどで、あまり放射性物質の忌避について、書きすぎないようにしているのは、どうしても移動できない方もいることや、見解がマクロビオティックの実践以上に男女で一致しないことも理由です。幸福や成長を求めてのことなのに、放射性物質汚染を避けたい、という理由で家族や夫婦が崩壊しては元も子もありません。本当に大きな意味で言えば、そもそも「幸福」とは、幸福・・・というより快楽を求めなくなった心にしか訪れません。けれど、この場合は、例えば「家族が元気で健康に過ごす」というような幸福の意味で用います。それに「生きる」ために全力を尽くすことは「元気」の基本です。しかし「生きる」ために必要なことのうち、女性はより食など根源的なことへの関心が強いですが、男性は同じ真剣さで社会的要素を意識します。また、男は主観的な判断で決断することを忌避します。どちらも正しく、どちらも不完全なのです。ですから、男と女なのだから最初は違って当然、と言う前提で何度も話しあうことだと思います。自分の思っていることが全てイコール事実 かどうかはわかりません。思い込みかもしれないのです。思い込みと直感は違います。主観と客観の意見交換の中で、相違がプラスになり、1人の時よりさらに進んだ結論にいつかたどりつけるでしょう。
陰性な人は恐怖に支配されがちです。陽性すぎると利己的になりがちです。何か、意味があるのです、このような体験に直面すること自体に。時にはケンカにもなってしまうかもだけれど、そこまで見せられる他人は他にいません。また、精神レベルが同じくらいだからこそケンカになるのです。つまり、共に成長するパートナーである証。
放射線は、膵臓や腎臓、肺、角膜などは特に傷つけやすいですし、大腸、心臓や心筋、肝臓、生殖器などの重要な器官に悪影響が強まっていきます。玄米、味噌、梅干し、ごま塩、たくあん、ひじき、葛、青菜などは必須食材といえるでしょう。
私たちは、この2年は、家族・姑ともに、かつてない不調を経験しました。体調を崩すということは本当に辛く、取り返しのつかないことも起きてしまいます。個人的には、今までと違いかなり陽性にしないと、特にごま塩や海藻、玄米をしっかりとらないと、体がもたないな、と感じています。マクロビオティックスイーツも、食べられる量が少なくなってきました。それでも勿論、砂糖や負担がかかるものを食べることはあります。交際や外食の機会は私もありますから。ただ、流されすぎないことは本当に大事ですね。
一方、生徒さんの中には、放射線被害を恐れるあまり、塩気の取り過ぎになってしまった方もいました。よくご自分の良い「塩梅」を模索してください。
また、生徒さんの中から「不調は放射性物質の影響ではないかと不安になっていたけれど、よく考えたら先日エビを食べた、肉を食べた、と思い、対処したらすぐよくなった!」といったお話をしばしば伺います(知らせてくださってありがとうございます)。また、足裏から毒素を排出できなくなり、子宮や心臓を傷めてそちらの痛みが発生したり、顔面や頭髪、首のトラブルになっている方も多いようです(好転反応とは別だと思います)。生理や便通が止まっていると、同様に他に不調や痛みが現れやすいです。
全て放射性物質のせいにする前に、まず、現代食やライフスタイルの悪影響を考慮して調えることで、一層それが放射性物質の影響かどうか、判断しやすくなるでしょう。放射性物質ばかり気にして、それ以外の問題を意識しないのも私たちの生きる目的を果たせないでしょう。逆もそうですね。現代に生まれた私たちは、未來の分岐点のスイッチに誰もが手をかけているように思います。それぞれの異なるステージで、ご一緒にがんばっていきましょう。
最後に、以上の見解は「一意見」にすぎません。私はマクロビオティックの研究家で、放射性物質の専門家では全くありません。しかし、これからも皆様には時々「意見」はお伝えしたいと思っています。判断材料にしていただければ幸いです(私が正しいとは限りません)。
またお目にかかれます日を楽しみにしております。ありがとうございました。