病気の際の食事について(3)
このお知らせ欄の「病気の際の食事について(1)、(2)」にある通り、これまで治病中のマクロビオティックの基本を2回にわたってご紹介しました。特に治病中でない方にも軸になることですので、よく押さえておいてください。
また、「病気の際の食事について(1)、(2)」の内容は、日常生活が続けられる程度の病気や不調のためのものです。寝たきりなどになった場合は、「病気の際の食事について(1)、(2)」に加え、さらに気を配る必要が出てきます。それは、何を食べるか、と言うこと以上に「料理の仕方において」です。同時に、症状が深刻になった場合は、無理に五味を取る必要はありません。穏やかな甘味を意識すれば良く、刺激の強い酸味や辛味は、無理にとらなくて良いです。
料理に関してですが、もしも症状が重く、あるいは寝たきりになるほど体力が落ちている場合は、「食べる」という行為そのものに要するエネルギー消耗が大変負担になることを、なによりもよく理解してあげましょう。したがって、吸収しやすいように流動食のようなものを増やしてあげる必要があります。十分に咀嚼する体力がないからです。また、消化しにくい油脂類、ナッツ、いんげん豆のような脂肪の多い豆の煮もの、などは、注意深く避けるか量を減らす必要があります(ただし、納豆や味噌などは良い)。
加えて、特に肺や腎臓の病気の重症、子宮や生殖器や脳の病気の重症の場合は、素材が持つ「振動」に大変敏感になります。全ての物質は、振動の集合体です。止まっているように見えますが、どのようなものも、分子活動の集合体であることに変わりありません。料理とは、その活動、振動を変化させる行為です。
具体的には、荒々しい振動のもの・・・ブレンダーや電気調理のもの、冷蔵庫から出してすぐのもの、強すぎる圧力、激しく煮立てたり高温を加えたもの、乱暴に調理したものは、その振動が食べる際に、病人の苦痛になります。調理器具は、できるだけ、金属を避け、木のもの、土のもの、セラミックスなどにしてください。包丁はよく研げたものに。
スープの具や煮物は、小さく切ったり、すりおろすことを増やします。それらを優しく静かに煮たり茹でたりして、決して激しく焼きただれた状態にしないこと。また、味噌や野菜のもつ酵素をできるだけ活かすこと。野菜はすりおろすと酵素が増すので、大根おろしやりんごおろしなどは昔から風邪のときに重宝されます。
玄米や主食は、そのままだと食べられなかったり飲みこめなかったりするので、重湯をつくって飲ませてあげるか、すりおろしてあげる、できれば手作りの「玄米クリーム」にしてあげます。玄米クリームは、さらしの布を半分に折って端を3重に縫った簡単な袋に、お粥と重湯を熱いうちに入れて、できるだけつぶしながら濾して作ります。
重湯も玄米だけだと重くて苦しい時は、一緒に青菜刻みと炊いてあげたり、麦と炊いてもよいでしょう。梅干とすりつぶしても、喜ばれるかもしれません。ただ、病気のときこそ、よくよく玄米粥は甘く優しく炊きあがるように洗い方の振動に気を配ってください。
葛湯がしばしば大変役にたちます。梅醤葛、甘酒葛、人参ジュース葛、りんご葛など、しばしば作ってあげてください。ジュース類は、できるだけ缶ではなく、瓶に入ったものを選びましょう。いずれにせよ、よく、病人の方の身になってあげて、接してあげてください。